八谷磨流の趣味小説!

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猿和園(3)白き地の果てより 2話

この星の果てにて



あの緑若き山と燃えるような星空に捧げる

これは記録です。全てを自分の口から語るのは、当分つらくてできないだろうから、ここに全てを記録しておきます。日記をつなぎ合わせたものだから、読みにくかったらごめんなさい。 水無月



この星の果てにて


──新暦2014年5月4日
南極の端に佇む「民間」基地へと四人の青年を乗せた砕氷船が辿り着いた。その白き地に降り立った四人を基地からやってきたもう一人の青年が迎えた。
「やあ博!久しぶり!」
僕は白い息を靡かせながら、博の元へと駆け寄った。
「よし。六月の探検隊、全員揃ったな。」
博は僕と肩を組みながら、残りの三人の方を見た。
「高校以来か、全員揃うのは。」
尽誠は白い息をふうと吐き、遠くの山を眺めながら呟いた。
「ああ。大学でも一同に揃うことはなかったからなあ。」
その日は快晴だった。
「星たちが窮屈そうに海にまで溢れかえってやがる。」
蓋星が呟いた。
「よ!蓋星っち。お宅は相変わらず星が好きだね。」
「なあ博、カノープスはどれだ?次期南極星が見たい。」
「あれだよ。…君は五年早く来ちまったんだ。」
他愛もない話を続けながら、僕たちは基地へと進んだ。僕らはどこからともなく笑いが溢れてくるのを感じていた。皆、この先の期待と不安で笑わずにはいられなかった。何人かが笑いすぎて咳き込んだ。


「さあどうぞ。ここが俺の研究室だ。」
博は四人を基地内の一つの建物に案内した。外見は白いコンテナ状で、単純質素なものだったが、内部の見た目は窓がないことを除けば地方のマンションとさほど変わらなかった。
全員が建物に入ると、博は部屋を一つ一つ説明して周った。
「ここが俺の部屋。研究室も兼ねる。」
四畳ほどの部屋は、奥がガラス張りになっており、その向こうには実験器具が所狭しと並べられていた。
「隣の二部屋が君達の寝室。二人ずつに別れて使ってくれ。」
寝室もそれぞれ広さは四畳ほどで、床はフローリング。入口の側には机と椅子が備え付けてある。部屋の隅には畳まれた敷布団が重なっていた。
「んで次が風呂場とトイレ。お湯は貴重だからシャワーのみでよろしく。」
風呂場は狭いものの、見た目はかなり良く、銭湯が個室化されたかのような雰囲気だった。
「そしてキッチン。基地の中央施設にはレストランもあるけど、自分達でやった方がいいでしょ。…魚は尽誠っち頼むわ。」
支給される食材は企業が輸送してくるため、長期保存可能なものばかりであった。そのため、現地で新鮮な食材を確保する手段は、釣りのみであった。(南極の海にも魚は多く生息していた。)
「南極の魚はデカいのが多いな。博、出刃包丁はあるか?」
尽誠が食料庫を覗きながら言った。
「あるよ。ステンレス製165ミリと210ミリ。」
「わかった。任せろ。」
拍手が起こった。ここにきて尽誠の魚料理が食べれるとは思ってもみなかった。
リビングに戻った。
「最後に、この公衆電話から連絡ができる。それとインターネット設定を済ませといてくれ。」
博は四人に識別番号とパスワードが印刷された紙を配った。
「今日から半年、みんなの拠点はここになる。この世界一過酷な大陸で最も楽園に近い場所だ。」
「違いねぇや。」
「それじゃ。今日はもう遅いから、明日からの訓練に向けてゆっくり休んでくれ。ほら蓋星っちが立ったまま寝そう。」


僕らの目的は「VM基地を見つけだし政府の裏側を暴くこと(なんならそこから情報を引きだすこと)」。
そして「南極を知り尽くし、制覇すること」もいつしかそこに加わっていた。


ここで一度筆を置きます。楽しい思い出は楽しい思い出のままに。切り取っておきたいのです。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜<人物紹介>六月の探検隊❷

(Uetsuchi) 男
一人称:僕
年齢:24歳(南極探索時)
誕生日:7月21日
身長:166cm 体重:55kg
視力:右1.2 左1.0
血液型:A
イメージカラー:橙色
座右の銘:日に進み月に歩む
大学:羽里大学
職業:大学生(脳科学部)
特技:機械修理 プログラミング
趣味:機械いじり
好きな盤上遊戯:将棋