八谷磨流の趣味小説!

AJUの趣味小説!

空想科学とかのネット小説をぼちぼち書いてる

猿和園(3)白き地の果てより 4話



贋ノ神はしらびとと旧世界の箱庭


友人に勧められて探偵事務所を立ち上げることにしました。
あの頼もしい後輩二人も誘ってみよう。
水無月



VM・クレバス地帯


つかの間の休息を終え、僕らが立ち上がった。その時だった。
まるで地の底から響いてくるかのような低い音が空気を震わせながら洞窟の奥から響いてきた。全員の動きが止まり、ある者は顔を見合わせ、またある者は洞窟の奥を凝視していた。音は数秒ほどでおさまった。皆を見渡していると、渉と目があった。渉は僕に向けて腕を伸ばし、五本の指を開いてすぐに閉じた(合図だ。危険、対応しろ)。僕は軽く頷いてから声を発した。
「ウーさん。これは山鳴りでしょうか。」
静まり返った洞窟内を僕の声が反響した。
「どうだろうか。私も南極で洞窟の調査をしたことは何度かあるが、山鳴りは聴いたことはないな。それに、殆どが氷洞だったしな。」
「おかしいですね。さっきの壁にしても、地殻変動が起きてると考えられますが、この辺りに火山や断層はないはずですよね。」
博が隊長に訊いた。
「ああ。ヴィソンマシフ周辺は目的のクレバス地帯を除いて比較的調査が進んでいるからな。国の調査隊も何度か派遣されているし。俺ももともとそこの所属だったのさ。」
「そうだったんですか!じゃあ、VM基地について何か知ってませんか!」
僕はつい興奮して訊いた。
「すまんな。俺が担当していたことは全て機密事項なんだ。もっとも、俺も詳しくは把握してない。だから置いていかれたのかもしれないが。徹底的な法令遵守。憧れるよ。良くも、悪くもな。」
渉が僕の肩を掴みながら言った。
「どうします。」
かなり強く掴まれた。
「この先、洞窟を進むのであれば先頭は僕が歩きます。」
「構わんが…」
隊長が言い終わらないうちに蓋星が被せた。
「まあ、ここは譲ってやってください。」
「それはいいが、理由を教えてくれないか。」
不思議そうに言う隊長に、渉が割って入った。
「いいえ、ただ洞窟でいつ何がおこるのかわからないので、洞察力の高い彼を先頭に置いたほうがいいかと。」
渉は自分の目を指差して隊長に言った。
「何より、この中で一番の目を持ってます。」
「そうか。じゃあ透君、頼むぞ。」
僕ははい。と応えて一行の先頭に立った。


暗闇に目が慣れてきた。先程は気付かなかったが、洞窟の壁には沢山の化石が埋まっていた。僕らの足はその化石の前で不思議と止まっていた。
「羽の付け根に大昔のペンギンの祖先の特徴が見られる。」
博が呟いた。薄暗い洞窟にフラッシュの閃光が走った。
「博は鳥が好きだったな。」
尽誠が足元を気にしながら言った。
「特に骨格にね。どうして鳥は翼を持つようになったのか。昔っからそれが知りたかった。」
「ふぅん。ペンギンは飛ばないけどね。」
「まあまあ。…そうそう、もう一つペンギンの痕跡を見つけたよ。地面を見てごらん。」
博は足元を指差した。
洞窟の地面は黒い砂利に氷が混ざっているから白色をしていたが、それは入り口付近で確認しただけだった。その時土を踏みしめる足の感覚は、荒い砂利ではなく土を踏んでいるようなだった。よく見ると、白の占める割合が増えていた。ペンギンの羽毛とフンだ。どうやらこの洞窟は壁の前で見たペンギンたちが巣穴にしているようだと思われた。

再び分岐しているところまでやってきて僕は初めてそれを見つけた。右へ進む道の先の地面が大きく裂けている。
「見てください。」
僕は亀裂を指差して隊長に言った。
「地面が割れています。氷の圧力で裂けたのか、先ほどの壁と同様に地中からなんならかの影響を受けたのか、僕には判別できかねますが、危険であることは確かです。」
「そのようだな。特にこの辺りはその影響が大きいとみた。これ以上先に進むのは野暮だな。」
全員隊長に賛同した。洞窟の調査を中断して、引き続きクレバス地帯を目指すことにした。


洞窟から出ると、吹雪は止んでいた。雲にも隙間ができ、そこから太陽が顔を出していた。明るさに目が慣れてくると、黒い壁の姿がより一層明確に見て取れた。ドス黒い枠組みの中に鈍く七色に光る世界が浮かんでいた。それは宇宙を描いた一つの芸術作品のようにさえ感じられた。太古の動物たちが闇を泳いでいる。銀河のような大きな巻貝。星雲のような、所々に集まる微生物。底の方には黒い塊が渦巻いており、およそそれが何者であったかを推し量ることはできなかった。そして、氷から押し出されたあのミイラはさながら錆びた宇宙船といったところか。今は見ることができなくなった太古の世界がそこに存在した。その佇まいに圧倒され、蓋星も写真に収めるのを忘れかけていた。胸騒ぎがしていた。神秘に満ちた壁を前にしての興奮なのか、無尽蔵に大きな大自然の力への不安なのか。

僕らは再び平坦な白銀の大地を進んだ。ヴィソンマシフが大きくなるにつれて、大地には裂け目が現れ始めた。中には雪に埋もれていて、目視で気付けないものもあった。
その時アンザイレン(登山用のロープ)が小さく三回震えた。隊長からの合図だ。
「平たい道だからって油断するな!しっかり踏みしめてあるけ!」
経験者の発言は重みがあった。
アンザイレンが再び震えた。四回。最後尾からの了解の合図だ。
この時の順番は、先頭がウーさん、二番手が力のある尽誠、三番手が僕、四番手が安生さん、五番手が博、最後尾が蓋星だった。
これからクレバス地帯に突入する。その時だった。目の前から隊長が消えた。轟音が鳴り響いて地面が揺れた。
尽誠が踏ん張っているのが見える。僕は後方に合図を出した。先頭と距離を縮めると、オレンジのウェアが目に入った。間一髪滑落は免れていた。そして隊長の前方には大きな裂け目が口を開けていた。つい先刻までは固まった雪が覆いかぶさっていたのだと考えられる。それは、クレバスと聞いて想像していた以上に大きく、深かった。底を覗くと薄暗く、かろうじて落下した雪が積もっているのが見えた。数秒前まで前方には雪の丘があった。それがまるごと消えたのだ。
「すまん。助かった。」
隊長は頭を抑えていた。裂け目を真っ直ぐに見据えたその目には光がなかった。
「大丈夫ですか?頭打ちました?」
安生さんが焦った様子で聞いていた。隊長はしばらく黙っていた。
「いや、思い出したんだ。あの時をね。」
隊長は顎をさすりながら、捻り出すように言った。いつもの陽気さが微塵も感じられなかった。それほどに、取り残された時のショックは大きかったのだろう。
「少し、休まれますか?」
安生さんが隊長に尋ねた。
「もう少し進もう。目的のクレバスが近い筈だ。」
博が顔をしかめて答えた。
「そのはずなんですが、位置を示す調査用発信機からの反応が、すぐ目の前から発されています。どうやらこの巨大なクレバスがそれみたいですね。」
「そうか。では降りる前に手順を確認しよう。非常事態とはいえまだ損失は何一つない。慎重にいこう。」
依然として博は顔をしかめていた。
「そうもいきません。先発の調査隊からの信号も三百メートル圏内で途絶えています。半日前に合流地点に到達したという連絡を最後に受け取ったきりです。小さな丘。いまはクレバスの底ですが。」
「だが、そうであれば雪が今落ちたことに納得がいかない。彼らは無事な筈だろう。」
「合流地点は目的のクレバスよりも我々側です。つまり…」
渉が僕の肩を掴んで指をさした。
前方の崖に少し平らな部分があり、三つの赤い蛍光色が目に入った。

全員で呼びかけた。一つのウェアが動くのが見えた。
「博!通信機!動いたらまずい!」
尽誠が気づかなかったら危なかったかもしれない。彼らの近くで大きな雪の塊が裂け目の底へと滑り落ちていった。
「こちらヴィソンマシフ第三クレバス後発調査隊、伊津野博。対岸から三人とも目視で確認できます。他二人は無事ですか。どうぞ」
「こちら同じく先発調査隊、南天陽浩。先程の雪崩で私以外は意識を失っています。どうぞ」
「救助を行います。手順を決めましょう。どうぞ」
二つの赤いウェアが先程より黒く見えていた。もう雲が戻ってきたのかと空を見上げたが、太陽はその姿を空に留めたままだった。影がさしたのではない。次第にその真実が頭の中に割り込んできた。
「不要です。予定を変更し、クレバス内で合流しましょう。どうぞ」
「二人をどうするつもりですか。どうぞ」
「死亡を確認しました。どうぞ」
「…。ご冥福をお祈りします。十分に休まれてから降りてください。どうぞ」
寒気が走った。極寒の地にあって寒さに慣れた僕達にも、その寒気は感じられた。
「了解。本部に連絡した後、降下を開始します。どうぞ」
「了解。」
亡くなったのは桜川実さんと朱田哲也さん。三人は壁面から突出した部分に落ちれたものの、それは複雑な亀裂で構成されていた。二人は腹部を思いっきりやられたらしい。隊長曰く、ベテランの二人だったそうだ。
僕らはしばらく対岸を見つめていた。一歩間違えれば隊長、そして僕達もああなっていたかもしれないという事に身震いした。いや、それだけではない。大いなる自然の力を目の当たりにした実感を身に染みて得た。獣が生きるために喰らったのではない。悪が快楽の為に屠ったのでもない。目的も、感情もそこには存在せず、ただただ純粋な大いなる力に彼らは飲まれたのだ。その黒ずんだ谷は僕らに命の儚さ再認識させた。人間だって簡単に死ぬ。生き物なのだ。
「そりゃ縋りたくなるよ。」
祈りを捧げてから、降下の準備を始めた。
クレバスの半ばに反対側とも繋がる大きな足場があり、そこへ降りて南天さんと合流した。最中、本部からの返信があり極渦の発生が告げられた。それにより急遽、本部から救助隊が組まれることとなり、荷物のうち余りの品を譲ってくれた。
「二人の遺体はどうなるんですか。」
蓋星が訊いた。
「あいつらはここに残ることを選択してる。本望だろうよ。君も契約書で見てるだろう。…そうだ。そのカメラで撮ってやってくれないか。ほらこっからでもよく見える。」
白と黒のコントラストに暖かい光が射していた。



VM基地


南天さんは一人で氷壁をずんずん登って行ってしまったので、僕らは調査を開始する事にした。まずはクレバスの底へと降り、簡単な調査を行った。周囲は起伏が大きいものの、落雪に注意すればこれといって危険な場所はないことがわかった。また、裂け目の端は傾斜がやや緩やかで、底の部分はそこまで広くなく、僕らが降りたのはその底の丁度ど真ん中であった。調査することは二つ。一つは地形調査。衛星からの調査で大まかな形は認識できるものの、この辺りは常に大きな雲や嵐が停滞しており、特に風が不安定であるため、航空機やドローンによる緻密な調査ができないためである。もう一つは生態調査。先程のペンギンのように比較的沿岸に近い洞窟やクレバスに生物が存在しており、近年生態系が存在する可能性が示唆されているためである。
「やはりな。」
すぐに隊長が大きな縦の亀裂を見つけた。亀裂の脇には、凍ったペンギンの羽毛が張り付いていた。
「これは…先程のものとは違いますね。」
博が羽をひとつまみした。
「この羽は見たことがありません。広がり方がアーキム種に似ていますが、それ以外に共通点が見受けられません。」
「アーキム?それ昔の菌とかのことじゃ?」
蓋星が怪訝そうに訊いた。
「そう。アーキム種とは我が社の調査隊が初めて見つけたペンギンの種なのだが、同時に氷解した菌による感染症の原因になってしまってな。よくある話だ。」
「よくありはしてませんよ。」
博が苦笑しながら付け加えた。
「おい。」
少し進んだところで尽誠が呼んでいる。
「どうした?」
僕は彼に近づきながら声を発した。
皆が亀裂に入った頃、尽誠は口に人差し指をあて、静かにするよう促した。
「おい。あれ。」
尽誠はもう片方の指で前方を指さした。
目の前の雪塊が動いている。光をあてると、それは一層大きく動き始めた。どうやらペンギンの雛であるようだ。雛は灰色の羽毛に覆われており、地面を這い回るように動いていた。雛たちは光が当たらない所まで逃げると動きを止めた。
「すごい。あんな大きな雛は初めて見た。」
博は蓋星に写真を撮るよう(もちろんフラッシュはオフで)促しながら、興奮気味に喋っていた。南極の条約により、人間からペンギンに接触をはかることは認められていないため、周辺に残された形跡から調査を行った。
這って移動していたため外見から身体の構造を調べることは困難であった。他の種に比べて変わったところはその移動方法と、目がほとんど見えておらず、光の有無を判別することしかできていないことの二点だけであった。代わりに嗅覚が優れているようで、僕らが近寄ると避けていった。
「盲目ペンギンってところか。」
尽誠の呟きを博が掬った。
「うん。ここは巣に見えないから、単に産まれたばかりで目が見えないってわけじゃなさそうだね。」
「成鳥って可能性もあるのか。」
隊長も興味を示していた。
「そういえば隊長の傷はクレバスでペンギンにやられたって…」
「こいつじゃない。」
隊長は盲目ペンギンの方を見詰めたままだった。
「こいつらは嘴が平らだ。あいつは鋭い嘴をもってた…あれは本当にペンギンだったのだろうか。すまんな。あの時酷く頭をぶつけてよく覚えてないんだよ。」
「大丈夫です。先程も何か思い出したって言ってましたね。何か教えてくださいませんか。」
僕は情報なら何でも欲した。かなり図々しかっただろう。それでも隊長は応えてくれた。
「そうだな。ここは暗いし危険もある。クレバスの底ですら正午以外ほぼ陽が射さないだろうし、拠点づくりといくか。話はそれからだ。一旦休もう。」
拠点はとても重要な意味を持つ。休憩をとるだけでなく、非常事態の砦や何かあった時の集合場所になる。特に精神面を支えてくれるのが心強い。落雪を受けないよう出っ張った壁を利用してテントを張り、雪を掘って作った窪みで化学燃料を燃やしてお湯をつくった。僅かに見える空は薄暗い雲に包まれていた。

拠点を作り終えて休息をとっている間、皆の表情が暗いのを見て隊長は例の巨大な鳥について話してくれた。
「あいつは白くて大きな鳥だった。鳥なのは確かだ。だが今回と同じように比較的海に近いとはいえ、クレバスの底にまでカモメやアルバトロスが入ってくるとは考えにくい。」
「あの盲目ペンギンよりも白かったんですか?」
「盲目ペンギンで定着してるな…雛ってだけかもしれないけど。」
「…白かった。羽を広げると俺を覆うくらいに大きくて、だが、飛べないようだった。」
「飛べなかったから、ペンギンだと考えたんですね。」
隊長は頷いた。
「熊や海豹と同様に寒冷な環境によって体積を大きくしたのかもしれませんね。」
皆が口々に意見を言い合っている中、眠そうにしていた蓋星が持っていたカップを落とした。
「ごめん。つい…」
中身のお湯は真横の氷壁にかかり、その表面をザッと溶かした。つい先程までは真っ白だった壁から、ガラスのような壁が露わになった。
おおっ。と声が挙がった。僕はすぐに壁を拡げた。どうやらこの地下空間の壁には昼間落ちてきた雪が張り付いているようだった。
「あまり拡げると上の雪が落ちてくるかもしれない。そうなったら俺たちまるごと雪の下敷きだぞ。」
渉が後ろから声を掛けてきたが、御構い無しに姿見サイズの壁を彫った。ライトをつけて覗き込むと、向こう側のペンギンがいた空間がぼんやりと見えた。
「これはすごい。こんなに透明な(氷)壁は初めてみた。」
「暗くて気がつきませんでしたが、亀裂の中も同じ壁のようです。今度は壁を調べて見ましょう。」
隊長に提案した。


拠点で夜明け(といってもクレバスに光は射さないが)を迎えた。僕達は早速ペンギンのいた亀裂へと入っていった。ヘルメットに加えて大きな手持ちライトを壁に向けて進んだ。
「特に何もないな。」
3分ほど歩いたところで尽誠が呟いた。
「ペンギン達はどこへいったんだ。」
ライトで照らしても入口はもうとっくに見えない。僅かに感じられる風が僕らの正気を保っていた。
「みんな止まって。」
先頭を歩いていた僕は皆の足を止めた。
「風が。風向きが変わってる。」
十歩程戻ったところで、風が足元から吹いていることに気がついた。皆はライトを一斉にそこへ向けた。
「ここにもペンギンの羽毛がついてるな。」
蓋星は屈み込んで隙間を覗いた。
「どうだ。何か見えるか。」
尽誠もそこへ近づいていった。
「いや、一直線なんだけど先がすごく長くて。何も見えないな。」
僕も近付こうとして、異変に気がついた。渉がまっすぐ前を向いて硬直していたのだ。不思議に思い、顔を覗き込むと、目はまっすぐ前を向いていた。
「おい。透…あれ…」
渉が見ていたのは隙間の上。その壁の上方へライトを向けると、そこには明らかに人工物と思わしきものが在った。黒い、車輪のついた機械。と、その少し上にパラボナアンテナのようなものも在った。隙間の真ん中に位置していたということは、氷に挟まれたということなのだろう。機体はかなり損傷しているように見受けられた。
「うおっ、何だこれ。」
他のメンバーも気づきはじめた。
「農業用のバギーに似てますね。」
「でも南極の内陸で、なんで。」
「少し構造が違うみたいだ。取り出せたらいいんだけど、今の装備で可能でしょうか。」
渉が隊長に訊いた。
「今あるのはピッケルが二本。拠点にハンマーが一本。発掘に使えそうなのはこのくらいか。」
「すみません。」
そこで博が壁の前に出た。
「つるはしで窪みを作ってください。」
「何か方法があるのか。」
「ええ。作っておきましたよ。大量の三ヨウ化窒素爆弾。威力は弱いので崩落の心配もありません。」
「それで、大量の濾紙を。」
「それこいつらがここに到着した時のことなんだけど、よく覚えてたな。えーと五ヶ月前…兎に角、発掘作業を開始しよう。」
悠久の時を経て押し固められた壁は、氷とは思えないほどに堅牢だった。この壁にとって僕の振り下ろす氷斧は蟷螂の斧に過ぎなかった。苦労の末に、拳ほどの窪みを作ることができた。
「じゃあ爆破する。念の為崩落に備えて全員洞窟から撤退。」
隊長の指示で拠点へと戻った。極渦による悪天候のため日は射していなかったが、朝よりかなり明るくなっていた。
「爆破!」
爆裂音は洞窟内を反響し、かなり長く轟音は鳴り響いていた。
「よし突入。」
数分待って特に以上はみられなかったので、調査を再開した。
「少し別の爆薬も混ぜてたけど、実験通りの威力だ。」
「完璧。」
渉が博を褒めた。壁のは丁度あと数ミリのところまで削り取られていた。慎重にそれを取り出すと、多くの部品がなくなっていることがわかった。主軸上部のアンテナと側面の四箇所の接合部分、後輪が一つ、そして後方。
「この隙間が閉じる時に挟まれた。としか考えられないけど、一体いつの物なんだ。」
「ロゴもメーカー名も見当たらないな。」
「特徴は何もなさそうだ。」
僕はその近くに袋のようなものを見つけた。掘り出してみると、円形の金属製の容器が入っていた。缶詰のようだった。
「これを。」
隊長に手渡した。
「…缶詰か、開けてみよう。」
ピッケルで蓋をこじ開けると、中身は乾燥した豆のようだった。
「缶詰に豆とは珍しい。見たことない形だな。」
手に取った豆は砂のようにパラパラと崩れ落ちた。缶詰のラベルはもう色が落ちていたが、微かに「軍」という文字が読み取れた。
「漢字を使う国の軍が南極へ来たことなんてないはずだがな。」
「軍のマニアかも。」
そこで安生さんが気がついた。
有機物が見つかったってことはこれがいつかわかりますね。」
南天さんから受け取った機材の中に、簡易型炭素14法年代測定器があった。
「あーあれか。博。持ってきたか?」
隊長は博の方を振り向いた。
「ありますよ…って、炭素の半減期は5730年くらいですよ。この機体どうみても千年も経ってないでしょ。」
ジェット機で隣の家に突っ込むみたいだな。」
渉の突っ込みに思わず吹き出しそうになった。(吹いたかもしれない)
「まあ兎に角。やってみようか。」
博が背負っていた鞄から四角い枠組みに囲まれた機材を取り出した。早速豆の一欠片をセットした。数分後、結果が示された。
「渉。こいつお前の頓狂なギャグより狂ってやがる。多分滑落の時におかしくなっちまったんだな。」
博はそう言って表示された数値を指差した。
「1.2.0」
「百二十年か?」
尽誠が訊いた。
「一万…二千だよ。」
博が鼻にかけながら答えた。
「小型化に成功した最先端の機械だぞ。一体いくらしたんだろうな。全く。」
隊長も呆れ気味に呟いた。
「いえ、正常ですよ。」
渉は機械に関してはかなりの知識を持っている。それはこの最先端技術にまで及んでいた。
「回路にも異常は無いし、なにより何の問題もなく作動してる。」
オーパーツ…あり得ない」
僕は何がなんだかわからなくなっていた。興奮と不安。それらをかき消すような疑問。だが、これでわかったこともあった。
「だがこれでわかったな。この世界にはやっぱり何かが隠れてる。」
「この南極で、何か手がかりが得られるといいんだけど。」
皆、半ば放心状態だった。無理もない。
「あるさ。」
隊長が呟いた。
「俺は元々…」
そこで天井が突然崩落した。
「まずい!入口側だ!」
尽誠が叫んだ。
「音がやまない!今は反対側へ進もう!全員離れないように!」
軋むような音がずっと聞こえていた。走り出してからすぐ後ろで雪が崩れる音がした。
「嘘だろ。」
目の前に巨大な空間。そして雪山が現れた。

それは見覚えがあった。訓練中、帰還した拠点で見かけた。雪を被っても、頂上はその温度で黒い頭を覗かせるのだ。
「エンジン…か?デカすぎる…」
蓋星が駆け寄り、その雪を払った。上部に文字が刻まれていた。「守司鉄鋼」。これも知っている。
「故郷の地名を世界の果てでみるなんてな…」
「よくこの工場の前で釣りしてたなぁ。今でも国家管轄で操業する最後の工場だったっけ。」
「なるほど。読めてきたぜ。」
「…この先が、VM基地。国家秘密基地だ。」
隊長の声が低く響いた。
「…ウーさん?」
「俺は元国家遠征隊員。VM基地へと派遣され、道中クレバスへ滑落。例の鳥に襲われながら辛うじて一人で脱出した。その後、何故か南極からの帰還が禁止された。」
「それで。民間基地職員に。」
「今回お前たちがヴィソンマシフでの事故の調査を、まして同行なんて依頼してきたのは、此処へ辿り着くためなんだろう?博から聞いたぞ。…俺一人じゃできなかったが、今は違う。真実を突き止めに行こう。」
扉がエンジンの裏にあった。それは非常口のようだった。
「入れるんですか?」
「ここはな。だがこの先には内部ロックがかかってるはずだ。」
扉は錆びついて想像以上に重かったが、中に入ると雰囲気が一変した。
「古めかしい建物だと思ったら、中はりっぱだな…」
「そうなると、あのエンジン…この基地は一体どれほどの規模なんだ…」
「何もかもこの先の奴に聞こうじゃないか。さあ。此処が入口だ。」
狭い通路がいくつも集まり、大きな扉が現れた。側にロックらしきものが見える。
「おかしいな。開かない。」
隊長が手間取っていた。
指紋認証か暗証番号の入力なんだが、どうやら俺の番号はとっくに無効らしい。」
「内部と連絡を取る方法はないんでしょうか。」
「監視カメラくらいあるだろうから、気づいてもいいと思いますけどね。」
僕は装置の周辺を調べてみた。その時、手が画面に触れた。
「認証完了。ロックを解除します。」
意味がわからなかった。
「なん…で…?」
扉が大きな音を立てて開いた。内部は地下施設にしては広く…
(いや、「広い」などと形容するには勿体無い。どうしてこの南極の地下に建物が存在できるのだろう。氷河の動きに耐えられるはずはない。それとも、ヴィソンマシフの麓の地面下だったのだろうか?)


エントランスホールなのだろうか。奥のステンドガラスとその周辺、そして天井数カ所がほのかに明るくなっていた。壁に表示された地図がこの施設の規模の大きさを物語っていた。
扉が開く音がした。左手から白衣をたなびかせながら、誰かが駆け出してきた。基地の研究者だろうと思った。
「っつ、ツクシ様ぁ。御足労様です!ぇえ…お迎えが遅れたのはぁその寝ぇてたわけではないですよぉ。ちゃんと毎日のノル…あれ?」
「あの。すいません。研究員の方…ですか?」
「あぁ。ええと。ツクシ様は……いない。えーでも指紋認証の記録が…うーん。確かに西裏口から入ってくるなんて前代未聞だし。」
「あのー。」
「ああ!すいません!お客様だ!…えーとどうしたらいいのかな。セキュリティの確認。ぁ…とりあえずこちらへ。おつかれでしょう。」
「あ、はい。」
僕らは彼が出てきた方とは反対側へ案内された。
「あ!ツクシ様くるの明日だ!」
「…大丈夫かなあの人。」


僕らは会議室のようなところへ通された。
「そーですね。じゃあ。何か訊きたい事ある人?」
全員が手を挙げた。
「おっと。じゃああなたから。」
僕が指さされた。
「こ…」
「あ。先に名前もお願いします。」
なんとも間が悪かった。中には笑い出しそうになる者もいた。
「水木明です。この施設は何の施設ですか?」
念のため偽名を使った。
「水木くん。後でセキュリティ確認手伝ってね。…ここは、政府の研究施設。だった。今は私だけがここの職員です。主に設備と、自然再現園の管理をしています。」
「自然再現園。とは?」
「まって、順番に訊くよ。」
「はい。君。」
次は渉だった。
「土谷和樹です。此処はいつから存在してるんですか。」
「んーそれはよく知らないんだけど、少なくとも三十年前にはあったみたいだよ。」
「はい。」
博だ。
「守屋十也です。外に見たことないペンギンがいました。白くて地面を這い回る。知りませんか。」
「ぁあ〜。あの時のか。ぇーといいのかなこれ。…多分新種のペンギン。洞窟とか暗い環境に適応してるんだ。成鳥に成っても雛のような姿で地面を這い回る。エサ。エサは地下空間に自生する植物さ。」
「なっ、南極の地下に植物が?」
「国家機密だよ、なんてね。はい次。」
尽誠の番だ。
「蓮台野拓真です。僕らが此処へ辿り着いた理由なんですが、この辺りは数十年前から新しくクレバスが発見されているそうです。ここに来るまでもいくつか地殻変動の影響を見ました。何か知っていませんか。」
「蓮台野くん。ふむ。…特に心当たりはないが、この辺りに新しく火山でもできたのではないか。と私は考えます。…早いとこ撤退した方がいいかも…ね。」
蓋星が指さされた。
「ん…宮野天です。じゃあ一人になってからどのくらい此処に?」
「んん?んー。五、六年くらいかなぁ。それまでは相棒。みたいな奴がいたんだけどー。辞めちゃってそいつ。…こんなでいい?」
「ありがとうございます。」
「じゃ次。」
「安田景子です。必需品とかの搬入は?」
「搬入?特にないよ。此処では百人が百年は生きられるだけの在庫とシステムが整ってるんだ。」
「じゃ最後。」
「うわば…」
身震いしそうになった。多分「み」まで出てだと思う。目を向けると安生さんが肘打ちの準備をしていた。
「ゴホン。失礼。上原三郎だ。実は数年前に国家遠征隊なるものと交流した。そいつらは今何処へ?」
「んー?あぁ。…もう、帰還したよ。」
「そう…ですか。」
「上原くん?それにしても凄い傷ですね。」
君呼びに違和感があったがこの人には今更というふうに感じた。
「ええ。昔クレバスに落ちた時大きな白い鳥にやられまして。」
「なに。そんなのがいるんです?」
「いえ私もよくは憶えてないんです。ただ、羽を広げると私を覆うほどの大きさであったことと、飛行能力が無かったことは覚えています。」
「そっか。…うーん。とりあえず見てもらった方がいいかもね。」
「というと?」
「機密事項が多いから全てを案内は出来ないんだけど、自然再現園にはお連れできますよ。」
「おぉ。」
博は嬉しそうだ。
「準備してくるから待っててください。あ、その前にお茶でも。」
「どうも」
大きめのエスプレッソマシンが机の上に置かれた。
「えっ。」
彼はまず茶葉を近くの引き出しから取り出して、マシンにセットした。
「ここで採れた茶葉ですよ。」
「なるほど。」
自然再現園には農場もあるようだ。
「なるほど。百人が百年生きられるシステムってわけか。」

彼が出て行ってから、皆そわそわし始めた。
「なあ、と…」
蓋星が僕に話しかけてきた。
「監視マイクとカメラ。ここ絶対あるだろーな。」
渉がすかさず本名を晒すのを防いだ。
「確かにな。それにしてもこんな充実しているとは。日本の都会ビルと変わらんなー。」
お茶を飲みながら隊長も部屋を見渡していた。
「しかし不思議ですね。自然再現園とはどの程度の規模なんでしょう。」
「百人が百年…うーん。本部の研究農園(約40m×20m)と同じくらいじゃないのか?」
「そうですね。一人で管理してるみたいですし。」
体を休めてそんな話をしていた。疲れ切ってはいたが、この興奮において誰一人として眠ることはできなかった。
そして数分で彼は戻ってきた。
「お待たせしました。どうぞこちらへ。」



旧世界の箱庭


僕は彼に尋ねてみた。
「許可とか大丈夫なんですか?」
「機密事項には触れないよう気をつけますよ。それに久しぶりのお客さんなんです。特別ですよ。」
「何年も一人なんですよね。」
「…まあ私は嫌いじゃないんですよこの生活。それに園の奴らもいるしね。」
「そういえば名前…」
「あれ。そうでしたね。僕の名前は…あ、ホラここ。」
胸元にネームプレートがあった。中身の紙は酸化して色褪せていた。
「白地…」
マサルです。果てと書いてまさると読みます。」
「へぇ。」
「南極に似合あうでしょう?」
彼は笑って言った。彼は管理者、つまり政府の者ではあろうが、堅物でなくて大いに助かった。
「そいえば皆さん食事は?」
「あ。昼食摂ってない、です。」
「じゃあこちらで準備しましょう。」
「本当ですか!」
「はい。」
会議室のものと同じくらいの大きさの扉が突き当たりに現れた。
「さあこちらです。」


広めの個人用オフィス(と言った感じだろうか)が出現し、その奥には入口と同じくらいの大扉があった。
「では。行きますよ。」
扉の上には「Noah's Garden」なる文字があった。方舟ではなく箱庭と言いたいのだろうか。


扉を開けると、粗末な小屋のような部屋が現れた。彼は奥の藍色の扉へスタスタと歩いて行き、鍵を開けた。部屋の中へは薄汚れた窓から明かりが入ってきていたが、扉を開けた瞬間、暖かい日差しが僕らを包んだ。思わず瞑った瞼を開くと、そこには信じられないような景色が広がっていた。僕は思わず駆け出した。
「あーまだ遠くへいかないで!集団で行動しますよ!私が案内します。」
彼の声にハッと振り返る。
「はは、つい。すいません。」

「こんなこと…ありえない。」
「夢なんじゃないのか。」
皆感嘆の声をあげていた。予想外すぎる展開にただただ呆気にとられていた。表現するならば、色が戻ってきた。僕らの乾いた目に生き物の色が戻ってきた。そんな感覚に襲われた。
「ここが南極なんて信じられないでしょ。」
彼はどこか得意げに言った。すぐ近くから鳥の鳴き声がする。
「ヒマラヤヒヨドリとホウライウグイスです。ここには世界各地の動植物が集められ、独自の生態系を我々が管理しています。」
「我々?」
「私と、所謂人工知能です。」
なるほど。と思った。たった一人でこの広大な領域を管理するなんて間違いなく不可能だろう。人工知能は主に個体数や気温、湿度などのデータを収集するそうだ。餌やりが必要な種の判定も行うという。

歩いていくと、水辺が現れた。
「川ですか?」
「殆どが池です。日本の魚等用に急流エリアもありますが、お金掛かるんです。」
「まるで自然公園だ。空はどうなってるんですか?」
「上原くん。いい質問ですよ。天蓋は照明です。といっても政府が開発したとある新技術が使われてますよ。」
渉が食いついた。
「高性能太陽光パネルですか?」
「いやいや。土谷くん?ここは南極ですよ?」
「あっ。」
無理もなかった。あそこはまさに楽園だった。まさかそこが世界の果てにある極寒の地の地下だなんて信じられなかった。


しばらく進むと古そうな建築物が出てきた。
「白地さん。あれは?」
「水木くん。あれ遺跡に見えるでしょ?でもあれ蟻塚なんですよ。」
「デカすぎやしません?」
「でしょう?厳密には白蟻のものなんですが。彼らはアマゾンの奥地で見つかった新種です。」
「アマゾンかー。確か蟻は蜂の仲間で、白蟻はゴキブリの仲間なんですよね。」
「よく知ってますね守屋くん。いいでしょう。一つ教えてあげましょう。」
「おお!何をですか?」
「彼らの生態です。…なんと彼ら、移動専門の個体に運ばれるんです。」
皆の足取りは止まり、蟻塚の方へと注目がむけられてきた。
「そうですね。彼らは職業別に発達する器官が違うんですよ。水を蓄える者、葉を採取する者、菌を栽培する者そして彼らを運ぶ者。女王がいることは他と変わりませんがね。」
「高度な社会ですね。」
「ええ。他に類を見ません。」

それからまた歩き、山の方へと入って行った。
「この山が箱庭の真ん中です。ここ登ったらお昼にしましょう。」
山は日本のそれとそっくりだった。
「急流エリアもこの山にあるんですよ。」
目の前に見覚えのある光景が現れた。
「あれ。この川。どこかで…」
「モデルは日本の羽里山です。」
「やっぱり!そうですよね。」
「おお。それはすごい。」
「この五人は羽里県出身なんです。」
「奇跡ですね。」
まさか故郷の風景まで見れるとは。本当に楽園に思えた。

そして景色が開けたと思うと、奥に赤い鳥居が見えた。

「あれは…」
「神社ですよ。建てちゃったみたいですね。」
「かなり痛んでますね。」
「最後の改修工事は十五年前だったはずです。ま、今は僕がここの神様みたいなものですけどね。…ニセモノの神さま。」
この言葉の意味は、この時はまだわからなかった。

お詣りを済ませて側の建物へ上がらせてもらった。
「ここには僅かですが食料があります。安心してください。僕が昨日持ち込んだものです。」
出された食事は完全に和食で、白米と焼き魚、そして味噌汁だった。
「全部こちらで?」
「ええ。そうですよ。あっお味噌は持ち込みのです。」
その日は山を降りて米の収穫の手伝いをした。
動物達は全く姿を見せなかった。鳥達が飛び交う様子や魚が泳ぐ様子だけが僅かに見られた。「警戒心が強すぎませんか。」
「そうですねぇ。結局彼も現れませんでしたし…。」
「彼?」
「いえ、気にしないで。…普段こんな大勢の人が来ることなんてありませんから。ちなみにここに生きる者の多くが絶滅の危機に瀕したもしくは絶滅した者達の生き残りなんですよ。」
なるほど。入口の文字の意味が理解できた。

季節は日本に合わせているらしい。もちろん夕焼けも再現してあり、夜は暗くなった。僕らは箱庭を後にした。
入口の小屋に戻ってきて、ふと黒い機会が目に入った。
「このバギー。外に…氷壁に挟まってたのと似てます。」
「えっ。」
彼はかなり驚いていた。
「んーーー?昔そんなことがあったような。いや、わかりません。」
その後回収した機体を見せると、政府用に開発されたものと同じ機種であることが判明した。きっと今までの職員の誰かのものだろうとのことだった。缶詰については全くわからないとのことだった。彼は全てのデータを確認し、機体が何時のものであるかを調べると言った。一研究員に見えた彼は「柱人はしらびと」と呼ばれる役職だった。ここでは最高クラスの権限を持っており、如何なる情報にもアクセスできるそうだ。柱人の柱とは何かと問うと彼は妙に落ち着いた様子で、
「国を支える柱であり、また神を数えるのに用いる柱でもある。」
と答えた。

基地内から本部に連絡を取り、政府(裏だろう)からの了承も得、VM基地に泊めてもらえることになった。僕らはそれぞれ職員用の四人部屋に通された。僕は渉と尽誠と蓋星。もう一方の部屋が博と安生さんと隊長だ。
そして静かな夜を過ごした。少年時代のような興奮が続いた為、疲れ切っていたのだ。だがこれは良い事だったと思う。なんせ僕らはこれから人生最悪の日を迎えるのだから。彼らの正体と、あの旧い世界の忌々しい真実を知るのだ。


どうかこの記録を記し終える勇気を。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜<人物紹介>六月の探検隊❹

(Aoyama Jinsei) 男
一人称:俺
年齢:24歳
誕生日:8月20日
身長:170cm 体重:58kg
視力:右1.0 左1.0
血液型:O
イメージカラー:深緑色
座右の銘:人間到る処青山あり
大学:盃蔵大学(私立)
職業:大学生(法学部)
特技:魚料理 応急手当
趣味:海釣り
好きな菓子:吾妻の板チョコ